パーマカルチャー

アジア学院でのパーマカルチャーのプログラム開催

 UNITEDのプログラムとして、初めてのパーマカルチャーデザイン合宿をアジア学院で行いました。アジア学院はアジア、アフリカの農村地域の人たちが有機農業を中心に「共に生きるために」という理念のもと「学びの共同体」「サーバントリーダーシップ」「フードライフ」という3つの中心となる考え方があります。今回の場を作るうえで、参加者の多様性を引き出しつつ、パーマカルチャーの知識を得るだけではなく、このアジア学院の本質的な部分にも触れてほしいという想いがありました。

 まず有機農業、「フードライフ」に関しては、食と命がつながっている持続可能な暮らしの世界を知るために、アジア学院で日常のこととして行われている、作物の世話「麦踏み」や「鶏の飼料作り」と、アジア学院内で育てている豚や鶏、野菜を使った夕食のカレー作りを通して、文字通り体感しました。

 次に、農村地域のリーダーを育てるための中心的な考え方として、トップダウンのリーダーではなく、ボトムアップ型のリーダー像として、「サーバントリーダーシップ」という概念があります。その資質の一つに、「傾聴」というキーワードがあり、参加者同士で自分事の課題を設け、お互いにお互いの事を聞きあう時間を設けました。

 このパーマカルチャーデザインコースも、一つの「学びの共同体」として捉えており、特に参加した人たちが自分事の課題をもちつつ、それが他人と共にその課題の共通点を見つけ発表するということをコースの終盤に行います。そのことによって、自分の課題が人と共通するものであるのだ、また教える側教えられる側の垣根を越えて自分たちの手で、自分事の課題を解決しうるのだという経験となることを目的としていました。

 パーマカルチャーにも、アジア学院と同じようにPeople care, Fair share, Earth careという3つのコンセプトがあります。そしてその下に12個の原則がありますが、特に今回のプログラムの中で参加者の方に届いたのが、「多様性」というキーワードでした。

 アジア学院職員の人を囲んで座談会をした際、国外と国内に自分自身のルーツを持つ職員の方が、言語や場所で、自分のアイデンティティが複数あることを、率直に語っていただき、その対話の中からも、多様性について、感じることや考えることは多かったようです。

 普段の生活の中では、自分自身が、実はおかれた環境や接する人との中で、多様な考え方や感じ方をする多様な存在であることは、あまり意識できないことです。また、アジア学院事態もいろいろな多様な要素が、有機農業という形でそれぞれ意味を持ってつながっていることを、デザインの視点でみることができました。それは、以前学生の頃に、一度訪れたことのある人にとっても、大きな気づきであったそうです。

 参加者の方の自分事のテーマとしては、「居場所」「コミュニケーション」「他者を理解すること」などのトピックがあがりました。それぞれの自分事の課題として,食、アフリカの開発、自分のトランジション、などバラバラの関心でしたが、その中でペアを組み、共通するテーマを見つけるという作業をし、それを全体に共有する時間を設けました。

 パーマカルチャーのデザインは、ガーデニングの手法だけにとどまらず、地域社会に働きかけることや、コミュニティでの自給自足、またpeople care,つまりは自分自身を含め人間のケアをすることを中心の倫理に置いています。そのため、庭づくりのワークショップをする、デザインを描くということや、日常から切り離されたエコビレッジの非日常的な空間を味わうのにとどまらずに、自分事の課題、自信の日常に対して、前向きな力を持つ経験としたいという想いが僕の中にありました。

 参加者の「自分事の課題」が、農場のデザインなどの、いわゆる農法のトピックである必要はないという、思い切った考え方でパーマカルチャーの講座を作っていました。それは、アジア学院が有機農業の学校という面だけではなく、農村のリーダー、人を育てることを大事にしているのと同じように、私たちの課題は生き方やコミュニケーションなどの日常のこと、いわば自分の日々の「根っこ」を育てることの大切さを改めて僕自身も感じた経験でした。