パーマカルチャー

アジア学院について

僕がパーマカルチャーという言葉に出会ったのはったのは、アジア学院でした。

第一印象は、例えば落ち葉や堆肥などそこにあるものが有機的につながって循環していることの感覚的な気持ちよさだったと思います。僕自身、自由学園という学校を出ており、そこには針葉樹、広葉樹の木々の森があること、また豚や養魚などを行っていた場所にいつつも、活かしきれていない資源が多かったことを感じていました。そのため、徹底してものを活かしきり、90%以上の食料自給率を誇るがゆえに、それが食などの日々の生活の質を目に見えて良くしていることをまず感じました。

2014年に、たまたま職員の一人の人がパーマカルチャーを学びに安曇野へ行っていたという話題がでて、パーマカルチャーという言葉を知りました。それがきっかけで、僕は安曇野、富山、北海道、藤野、岩手などの農家さんを回り、オーストラリアのタスマニアへと行くことに繋がります。

アジア学院の研修の中でも、ウレシパモシリという岩手県花巻にあるパーマカルチャーのサイトを訪れます。ここは、ネムノキやハンノキなど、マメ科の木々に挟まれその窒素固定の性質を役立てながら、木々の間でエゴマを育て、豚を出荷している良くデザインされ、また真摯に農家として経営されている場所があります。

このような循環型の農業、土と生きることという学問の体系がバックボーンにありつつも、アジア学院それ自体は、エコビレッジを目指しているのではなく、アジア、アフリカ諸国の農村地域のための教育機関として存在し、掲げている理念はWe may that live together-「共に生きるために」というものです。

その背景には、第2次世界大戦の戦争や植民地などの贖罪の願いがあり、特に開発や近代化の恵みから取り残されつつ自給農の暮らしが残りつつも、農薬や遺伝子組み換え作物、温暖化による干ばつなどにさらされる、アジア、アフリカ地域の人たちをエンパワーメントするための場所です。

その手法として、近代化、機械化などではなく、適正技術というその場所で再現性のある技術を使うこと、また化学肥料ではなく有機農業の基礎的な知識を身に着けることが、有効な手段であると見出されています。また、リーダーシップとしても、サーバントリーダーシップを教えることも大切にされています。

多種多様な人がいて共同生活を行うことは、正直わからないことだらけで、慣れない英語でコミュニケーションをとらなければならないこと、感覚が違う中で、目的のある作業をすることは、これが本当に正解なのかとわからなくなることだらけであったと感じる経験でした。

最初に訪れた印象としては、どういう国境を越えてきていたとしても、感覚や思考が違ったとしても、同じ一人の人間であるということは変わらなくて、コミュニケーションをとろうとして働きかけることの勇気や、理解しようとすることは、自分の中で豊かな経験という感触がのこったことです。

感覚的に受け取るものの多さや、アジア学院が成り立っている運営されている思想や技術など論理的に受け取るものも非常に多い場所で、行くたびに人がすこしずつかわり、欧米から来ているボランティアや、違う国の学生、多様な人のまなざしから見るとまた違った側面を知ることのできる場所です。こういった存在の価値をできるだけ多くの人に触れてほしい、パーマカルチャーデザインコースというプロジェクトを行う上でも、学びとして受け取ること以上に豊かな人生となってほしいという願いがあって、ここを訪れることにしています。

2022年5月、23年2月にも、アジア学院で開催したいと思っているので、ぜひ多くの方にご参加いただけると嬉しいです。