パーマカルチャー

パーマカルチャーデザインコース@アジア学院開催

UNITED2回目のアジア学院でのプログラム、無事開催されました。パーマカルチャーの初歩として特にシステム思考について知ること、また自然の循環に入ることを体感すること、多様な人たちと時間を過ごし対話する中で「教える側」「教わる側」をこえて「学びの共同体」をつくる3日間でした。講義やそれ以外でのインプットがとても多い中で、消化しきれていない体験は、あえて言葉にしなくてもいいのだという安心感の中で、それぞれが言葉として出てくるものを大切にする時間を、始終過ごせたように思えます。

アジア学院では、朝に「フードライフワーク」といい、家畜の世話や野菜の収穫、除草作業など「食べ物」のために時間を使います。そのコミュティの仕事の中で作られたものが、毎回の食事に直接でてきて、何十人も生活しているアジア学院でも外から調達する予算は本当にわずかな金額ですんでいるとのことです。このような自給自足の食-Selfreliance-のコミュニティですごす3日間でした。前回は、そのことが心に残る人が多く、自分たちの食をを自分たちの手で直接作っているという感覚、「循環の中で生きること」に対しての感想が多かった印象でした。

今回は、前回と違い、アジア学院は、海外から人が入国するタイミングで、夜は音楽が響きなり、英語での自己紹介があちこちから聞こえ、ユーモアと人との出会いが混じり合うエネルギーに満ち満ちており、前回と様子が違うことが一番印象に残りました。外部の講師の学んできたことや、一つの要素として参加者と対話する中で、人間の変革に貢献するリーダーシップ、複雑なものを複雑に捉える眼差しとしてのシステム思考の学びを深めることができたかと思います。今回のゲスト講師は、スウェーデンでサスティナビリティのリーダーシップを学び、現代の科学や社会構造が、デカルトの還元主義的なことから抜け出せていないことを知った衝撃と、それを乗り越えるシステム思考と、リーダーシップの経験をお話ししていただきました。

「リーダーシップ」というと、自己啓発や成功の秘訣のような文脈で話されることも多いですが、それよりも「人間の変革を促す人であること」の資質としての意味合いが強いものでした。アジア学院でも、「学びのコミュティ」・「フードライフ」と並んで、「サーバントリーダーシップ」というリーダーシップが重視されており、それもまたいわゆる「人の上に立つリーダー像」のイメージとは、離れたものです。特にその資質の中でも、「傾聴」というスキルが重視されていることからも、権威から命令される、正しさを教育させるということではなく、お互いの話を聞きあい、対話の中でこそ人間は変わることができるのだという人間観に立脚したものであり、アジアアフリカ諸国の農村地域を背負う人々にとっても、またパーマカルチャーを通して持続可能な世界を作ることを学ぶ私たちにとっても、真に必要な学びであるのです。

パーマカルチャーは、システム思考、デザイン思考を用いて持続可能な暮らしを構築する手法ですがそれ以上に、多様なコミュニティの中で、国境を超えた一人の人として、笑ったり、泣いたり、歌ったり、子供と一緒に過ごしたり、心からの言葉で対話したり、とても人間らしい時間を一人ひとりが過ごせたことが、主催者として何より嬉しかったです。コースの最中だけではなく、夜にみんなで自分の事や人生、対人関係の事でそれぞれが抱えることを語り合ったことや、自然発生的に響きなる、音楽が絶えない時間を過ごせたこと、雨天も晴天も、昆虫や動物、植物にあふれる5月の那須の自然の中で常に過ごすことができたことなど、時間を使う環境にも恵まれたことが、それぞれの人の印象にも残る、良い時間をすごすことができました。