パーマカルチャー

炭素、窒素、土壌『コンポストレポート第2弾』

コンポストの構造に関しては、コンポストレポートを参照してください。今回は、炭素、窒素、土壌の話です。

人間は、文明を作ってきては、森林を枯渇させ、土壌を失ってきました。砂漠がある場所は、原生林の自然破壊が終わってしまって、います。さて、森林はどれぐらいの土壌を自然で作ることができるでしょう?

それは、日本のような温帯の緯度では、100年に1センチです。富士山の青木ヶ原樹海では、864年の噴火で撹乱が起きて、大地が表土を失ってから、1000年経ちます。その中で、まだほんの数センチしか土壌が形成されていません。

土壌の素材は、炭素と窒素です。森を歩くと、倒れた木々や、葉っぱにつきます。また、シカなどの動物の糞なども落ちております。こういったものが全て土壌の素材となります。

有機物であったにも関わらず、300年前の宝永の噴火から土壌にならず自然界に残っているものがあります。それは、噴火の影響で炭となった木です。純粋な炭素は、ダイヤモンドや、炭などの形で自然界に存在します。

一方で、私たちの身の回りにあり、土になるものには、窒素と炭素が4対6.3対2など様々な割合で含まれています。これを、窒素と炭素の頭文字をとって、C/N比といいます。本や検索すれば、それぞれのC/N比が調べることができます。

オーストラリアのパーマカルチャーアクティビストのコスタは、コンポストを行ううえでGreenとBrownという二つの色に、素材を分類しています。

まず炭素が多く含まれている茶色。こちらは、落ち葉や枯れ木など、その見た目通りわかりやすい茶色いものです。もみがら、枯れ草、ダンボール、ウッドチップ、木の枝など、微生物によって分解されるものの、分解に時間がかかるものです。数センチの直径のある木の枝でも、地上では分解に何年もかかることがあります。

次に、窒素が多く含まれている緑色。木々の葉っぱが紅葉したりするのは、窒素を回収してから落とすということで、ハンノキという根瘤菌と共生している木は、窒素が豊富にあるため、緑のまま葉っぱを落とします。また、葉っぱだけではなく、こちらは、色にとらわれるよりも、『おいておいたら腐敗するもの』と捉えた方がいいでしょう。生ゴミ、尿、糞、落ち葉などもそうです。

この『緑』と『茶色』に関しての基本的な考え方として、コンポストを作るうえでの基本は茶色(炭素資材)が緑(窒素資材)より多いことが大切になります。Costaは、緑の資材と茶色の資材を、層状にして何レイヤーも重ねて置いておく手法なども提示しています。

次に、これらの資材を土の中に直接入れて、いいのか、悪いのか疑問に持つかと思います。コンポストをすでに行っている人はご存知のように、コンポストは微生物による燃焼であり、燃える時に空気を必要とし、またガスが資材から出ます。土中では空気が遮断されること、またこのガスが、植物に悪さをするので、発酵段階で畑など土中に入れることはお勧めできません。自然界では、土壌がかき混ぜられることは少なく、全て土壌の上に有機物が降り積もってくため、不自然なプロセスとなってしまいます。

『空気』というキーワードも出てきましたが、非常に大事なポイントです。コンポストに空気が入らなくなる要因は、特に水が多すぎると、空気が入らない要因になります。また、分解資材に多孔質の炭や貝殻を用いることや、間隙率をあげる、もみがらなどの資材を用いることもあります。

最後に、コンポストの目的が生ゴミを減らすことなのか、よい堆肥を作るのかということに関わってくることが『温度』であります。コンポストの中に例えば人間の糞尿や、雑草の棚などがあると、それを果樹などでなく、栽培作物の畑にまくには、菌類や雑草の発芽などが懸念されます。そのため、コンポストをしていて発酵してきたものを、微生物資材や、土壌、落ち葉などと混ぜて60℃以上にあげる2時発酵のプロセスが必要になります。

土壌を語るうえでは、有機物以外にも、石などがコケや地衣類の有機酸で分解され、細かくなったもの、黒土の基盤となる火山灰などミネラルの役割や、ミミズや土中の微生物郡の世界もあります。今回の主題とズレるので、ここまではふみこみませんが、関心のある方はご自身で調べてみてください。

今回は、コンポストを学ぶうえで、土壌の基礎として、炭素と窒素があること。また、そのためには空気と、温度が大切なことを、改めて見てきました。ぜひ、質の高いコンポストライフにチャレンジしてください。

参考文献Costa Georgiadis “Costa’s World-Gardening for the soil soul and the suberbs” ABC books 2021

橋本力男『畑でおいしい水をつくる―自家製有機堆肥のすすめ』 北星社、2011。