パーマカルチャーの学舎

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2月の終わりに那須塩原で開催した、パーマカルチャーの学舎2024年度、農業大学の学生さん、本当に地元の農家さん、また全国の地方から、すでにパーマカルチャーを学んだ方々に、ご参加いただきました。

農大の学生さんたちが「初めて有機農の土を触った」と言っていたのが、とても印象的で、なかなかしっかりとした土壌に触れること、それも何十年も有機農業で培われてきた腐植のとても多い、森の土のような土を初めての体感を感じてもらえた事は、とても嬉しかったです。

また、僕も今回は、開墾した里山のガイドを那須塩原でも行いました。今年林業にちょっと携わることができ、スギ、ヒノキの話し、また高尾のフィールドも回らせてもらった、コナラなどドングリ、またホオノキなどの話し、これらが人と共に生きてきた自然であるということも、しっかりガイドしました。

とくに、伐採して開いた場所の土壌と、高木、ササが生えている場所の土壌も触ってみるとすごく違いがあるのも、感じてもらえたと思います。また、森や畑だけではなく、コンポスト、ボカシ肥料もしっかり触り、感じる「土」の世界にまずは、しっかりとフォーカスできたと思います。

アジア学院は、農業の研修をしているだけではなく農地域の平和構築、特に「土からの平和」という理念を大切にしており、私たちの生活が、食べ物と命が切り離せないものであり、それらは健康な土壌からくるのだという認識です。

一人でも暮らしてゆける便利な世界に私たちが暮らす一方で、食を中心とした協働生活では、多様な人と生きることは、避けて通れません。特に、大人数でテーブルを囲んで毎食食事を共にすることは、さまざまな形のコミュニティの始まりでもあります。

今回のプログラム自体も、自分の想いや感じたことを素直に場に出すことがとても大切になり、お互いの想いや声を聞くこと、分からない異質な人を、分かろうとすることにも、集中しました。

一方で、これはパーマカルチャーのデザインのプログラムなので、自分にとって必要な学びに繋がること、またそれを表現すること、訪れた場所でその場の力を最大限に引き出すための想像力を養うことも、行いました。

個人での発表と、全員でのデザインのプログラムをおこない、特に、今回の参加者の一人に協力していただき、実際のフィールドで、籾殻ストーブや場所の価値の引き出し方なども、みんなでデザインをするプログラムを行いました。

僕自身のプログラムの中での変化としては、農法についてこの間考えることが多く、実際に慣行農家の方の場所に訪れさせていただいた時に、私たちはどういう農法でも、何らかの自然の力を引き出しているのだと感じました。

「山が荒れる」という言葉は、「荒れるのが悪いこと」というイメージがありますが、自然にとって地勢は損なわれておらず、また地勢だけでも地下水を涵養する力があり、土壌がなくてもそこに赤松が生えてマツタケがより取れるポテンシャルがある、と考えた時に自然の眠っている価値は存在し続けるのだと思うのです。

多様性という力を価値に変えることは、それなりの対価とデザインが一方で必要であり、地勢や日照、降雨、アクセスなどの自然の恵みや価値をどういう農法であっても引き出してそれを食べ物に変えているのではないかと思いました。

組織も、ここまでアジア、アフリカの人たちが集う多様な場であることと引き換えに、その力を引き出すには、工夫というよりもむしろ、泥臭い日々の実践が必要となり、人間の暮らしにも、善悪、正義、理想のレッテルを超えて、現実を捉えるまなざしが鍛えられた様に感じました。

なにより嬉しかったのが、その人たちが、現実に直面している課題を、このプログラムで応援できる多様な人たちが集まってくれたことです。主催した僕自身にとっても、とても素晴らしい時間でした。ありがとうございました。