パーマカルチャーデザインレビュー 1.有効面積を減らす。
パーマカルチャーの視点で、具体的な事例からデザインに関わるアイデアをレビューしていきたいと思っています。今回は、心理的なバリアがあってたどりつきにくいと感じた「有効面積を減らすこと」を考えてみたいと思います。
2026年の冬に、農家から独立した友人のところにいきました。
その際に、広大な面積のある土地で、一つの畑の利活用を考えていて「影になる木を切るか」どうかという問いを考えていました。
僕は、この問いそれ自体に少し違和感を持っていました。なぜかというと、管理しきれないぐらいたくさんの土地があり、なぜここに拘泥するのかという合理性が見えなかったことがありました。
また、農家として本業はある一つの作物を別の借りた土地でつくっていますが、この畑の目的としては、自家消費の自給作物です。木を切るにしても、そばに電線があり、特殊伐採で切らなければならないということで、少なくないお金が発生します。
それを回収するには、自給の野菜でどれぐらいの時間がかかるのか、それであれば収量や有効面積を減らして、木を切るまでしなくてはいいのではないかという結論にいたりました。
ここに至る思考は、私たちの「土地面積における価値は最大化するべきである」という思い込みだと本にんがのちに語っていました。この言葉は面白かったなと感じ、いまここで取り上げて考えてみる価値のあることではないかと感じました。
それは、多くのデザインに反映されており、例えば都会に空き地がなく、駐車場や土地面積の価値の最大化のために上に重ねる高層ビルなどが生まれてきたのも、元をたどればこういった考え方も入っているかもしれません。
有効面積を最大化することに無条件で価値があるように思え、その点で有効面積を減らすことの選択肢を最初から除外しているのではないか?と意識することが時に有効なこともあります。
大きなスケールでは、都市にも当てはまると思います。パーマカルチャーのデイビッド・ホルムグレンの書いた著作のなかで、パターンランゲージのクリストファー・アレクサンダーの「City country fingers」は、まさにこの有効面積の課題を正面から扱ったものであるとも思います。
私たちは、町が中心に集中していて、郊外が町の周縁にあるという土地計画になれています。また、茅ヶ崎なども駅より北が畑などあるランドスケープであり、南は非常に面積の狭いところに多くの人が暮らしています。そのため、畑や土、自然にアクセスしたければ、北に行かなければならないという制約があります。
一方で、「City country fingers」のアイデアは、都市の機能が1マイルの幅で伸びてゆくデザインです。それは、まるで指のように伸びてゆき、その間に森や畑などが指と指を格子状に組み合わせデザインが構想されています。
これは、もし都市の再開発がされるとなったときに、ビルや商圏が成り立つエリアを最初からあえて減らしに行っている戦略だと捉えることができるかもしれません。僕がこれまで論じてきた「有効面積を減らす」一つの典型例かもしれませんが、この意思決定をできるかどうかといわれると、多くの人の合意をとることが難しいと感じます。
それは、経済合理性という、貨幣という価値の尺度が明確に存在するものにたいして、有効面積を半分に減らしてまで、森や畑に投資することの意味が万人に説明するには、対話のプロセスが必要だからだと思います。その時点で、コミュニケーションのコストがかさみ、そこに踏み出す勇気を伴う意思決定がなされないかもしれません。
しかし、今の時代は有効面積をすべて活かしたものがそのまま売り上げに直結するような人口増の時代ではなく、価値をどのように作っていくのかが問いとなっている時代です。
UNITEDでは、そういった価値の再編集のファシリテーションを個人宅から地域での大きなスケールで扱っています。興味を持っていただいた方は、ぜひご連絡ください。